組織の情報2



●判決予想
・板倉宏日本大学教授( 週刊ポスト2003年7月11日号 )
今回のような輪姦の場合、以下のとおりいずれも実刑で、執行猶予とはならないだろう。 事件が事件なので保釈も認められないと思われる。

  主犯格:懲役5〜6年
  それ以外:懲役3〜4年

週刊ポスト2004年2月13日号 )
※関本雄貴・隆浩兄弟の父親が高額の示談金( 600万円×2 )を支払ったことについて。
「 先に示談金を払って情状酌量を狙うのは、婦女暴行事件ではよくあるケースです。 相場は一人200〜300万円なので、関本被告の父親は倍以上払っていることになる。 ただし、大金を払ったからといって、執行猶予がつくことはありません。 このケースでいえば5年の刑期が4年になる程度でしょう」

・土本武司帝京大学教授・元最高検検事( 週刊ポスト2003年7月18日号 )
再逮捕されれば量刑は重くなる。 主犯格で再逮捕されれば懲役4〜5年はまぬがれない。 それに、計画的に家に連れ込み、輪姦したとなると監禁罪の適用もあり得るし、和姦を装う証拠隠滅工作をしていれば、さらに悪質とみなされ、すべてが立証されれば懲役7〜8年にはなる。

( 参考 ) 伊藤芳朗弁護士( 東京大学法学部卒 )へのインタビュー
性暴力に対しては( 量刑が )ものすごく軽すぎると思うんですが。 女性一人の人生を奪っても3〜4年で出てきてしまう。 でもそんなことで果たして罪を償えているのかと思う。
すべてを重罰化すればいいとは思っていませんが、やっぱり悪質な事案については鉄槌を下すべきだと思います
( 2000年3月22日付Web現代 )。

●強姦の認知・検挙状況の推移( 1992〜2001年 )
平成14年 警察白書より作成( サンデー毎日2003年7月13日号 )
 認知件数検挙件数検挙/認知
1992年1504127384.6%
1993年1611149292.6%
1994年1616148091.6%
1995年1500141094.0%
1996年1483131788.8%
1997年1657147288.8%
1998年1873165288.2%
1999年1857136973.7%
2000年2260154068.1%
2001年2228140463.0%
※告訴期限( 事件後6ヶ月 )が2000年6月に撤廃される。
※警視庁は1996年から女性警察官を「 性犯罪捜査員」 に指定し、770人が捜査に当たっている
  ( 2003年11月4日付読売新聞 )

2002年の性犯罪認知件数( 2003年11月4日付読売新聞 )
強姦2357件( 約1.6倍 )
強制わいせつ9476件( 約2.7倍 )
※(   )内は10年前の認知件数との比較

●刑法改正への動き
2004年2月10日に野沢太三法務大臣が刑法・刑事訴訟法の改正について法制審議会に諮問した。

改正案( 性犯罪 )( 2004年2月10日付産経新聞 )
2004年秋の臨時国会で法案提出予定。 成立すれば年内の施行も。

2002年の性犯罪認知件数( 2003年11月4日付読売新聞 )
 
強制わいせつ罪6月以上7年以下の懲役6月以上10年以下の懲役
強姦罪2年以上の有期懲役3年以上の有期懲役
強姦致死傷罪無期または3年以上の懲役無期または5年以上の懲役
集団強姦罪( 新設 )4年以上の有期懲役
同致死傷罪( 新設 )無期または6年以上の懲役
※現在、輪姦についての法定刑は強姦罪、強姦致死傷罪に同じ。

( 参考 ) 法制審議会諮問第69号( 上記改正案の詳細 )
http://www.moj.go.jp/SHINGI/040210-4.html

これまでの経緯

2003年9月、事件を受けて自民・公明・保守新( 当時 )3党からなる「 女性と刑事法に関するプロジェクトチーム」( 座長・南野千恵子自民党参議院議員 )が発足し、以下の案を打ち出した。

    「 強姦罪の法定刑下限引き上げ( 2年以上→3年以上 )」
    「 集団強姦罪・集団強姦致死傷罪の創設」

歴史的にモノ( =財物 )に比べて女性の人権は軽んじられる傾向にあった。 例えば、法定刑の下限は強姦罪が2年以上、強盗罪は5年以上と2倍以上の開きがある。 また、「 下にハンカチを敷けば合意となり、強姦罪は成立しない」などといった珍説が法律の解説書に載ったこともあった。

強姦罪の軽重が問われるきっかけは、1995年に沖縄駐留米兵が小学生女児に対して起こした事件だった。 米兵らは強姦致傷罪などで懲役7-6年半の実刑が確定したが、相当重いとされた論告求刑10年でも「 軽すぎる。 人権を守るために強姦罪の法定刑をもっと重くすべきだ」との声が出た。

角田由紀子弁護士( 東京大学文学部卒 )( 東京・強姦救援センターアドバイザー )は、「 当時、どんなに訴えても法改正にはつながらなかった」と振り返る。

しかし、現在は「 女性に対する暴力」を厳しく罰する動きは着実に進んでいる( Yomiuri Weekly2003年11月30日号 )

※現在は当初の議員立法から政府主導で刑法全体の改正の準備が進められている。
法定刑全体の改正は1907年の刑法制定以来初( 各種報道 )。

女性に対する暴力をめぐる動き
1993年 国連世界人権会議ウィーン宣言「 女性に対する暴力は人権侵害」
2000年 強姦致傷罪などで服役した男が出所後、被害女性を逆恨みし殺害した事件( 1997年 )で、東京高裁が死刑判決( 東京地裁の無期判決を破棄 )。
2001年 「 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」( DV防止法 )成立。
2002年04月前田雅英都立大学教授が強姦罪の処罰は懲役3年以上( ※現行は2年以上 )にという案を示した( 内閣府の男女共同参画会議「 女性に対する暴力に関する専門調査会 )。
 07月国連女性差別撤廃委員会が、「 強姦罪の処罰強化」を日本政府に勧告。
 10月刑法改正に不可欠の法制審議会を抱える法務省が、上記調査会に「 強姦罪の法定刑は検討が必要」という回答を示す。

( 参考 ) これまでの主な刑法改正( 特別法除く )
1907年刑法制定( 翌年施行 )
1995年尊属重罰規定廃止・条文口語化
2001年危険運転致死傷罪、支払用カード電磁的記録不正作出罪等の創設
2003年国民以外の者の国外犯規定の創設( 外国人容疑者への日本国刑法の適用 )
200X年強姦罪の法定刑下限引上げ、集団強姦罪・集団強姦致死傷罪の創設へ

( 参考 ) 浜四津敏子参議院議員( 公明・党代表代行 )( 慶應義塾大学法学部卒 )の小泉首相への代表質問
( 2003年9月30日付参議院本会議議事録 )
( 前略 )
○浜四津敏子君
小泉総理の所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
( 中略 )
第四点は、女性の人権についてであります。
( 中略 )
ところで、強姦罪の罰則は強盗罪の罰則よりはるかに軽く、女性の性的自由が物より軽く扱われていると従前より批判されてまいりました。 さらに、先般起きた大学生による集団レイプ事件などを契機に、法の見直しの提言もなされております。
そこで私どもは先日、与党に「 女性と刑事法に関するプロジェクトチーム」を設けて、強姦罪の罰則を強化し、新たに集団強姦罪を設けるために、刑法改正を行うべきとの検討を始めたところであります。 総理のご見解を伺います。
( 後略 )

( 参考 ) 内閣府男女共同参画局( 女性に対する暴力に関する調査・研究 )
http://www.gender.go.jp

( 参考 ) 内閣府 女性に対する暴力についての法制度的課題( 前田雅英東京都立大学教授 )
http://www.gender.go.jp/danjo-kaigi/boryoku/siryo/bo12-2.pdf
※戦後の強姦罪の量刑変化など( PDFファイルの閲覧にはAdobe Readerのインストールが必要 )。